私はラッキーな女だと思う。
時々思う。
150キロのスピードでガードレールに激突して、
1回転半の横転事故をしても、死なずに、
今日もこうして元気に丼でご飯を食べているし。
この掘り出し物のお気に入りの部屋を見つけたのだって、
リュンが膝で眠っていることだって、
私の周りにいる大切な人達に出会えたのだって、
みんなみんな、
幸運だとしか思えないもの。
だから私は、
いつだって感謝している。
ラッキーに。
今日なんかね、
パルコに気取って入っていったら、
入り口のアミアミした地面に、
ピンヒールがさっくり入って、
引っ張っても、
びくともしやしないの。
こんなのってよくあるじゃない?。
両手で何度引っ張っても、
ちょっとやそっとじゃ抜けやしないの。
仕方ないから私、
本腰入れて引き抜いたわ。
その時の私はまるで、
収穫時期の大根を引き抜いている、
農家のお母さんみたいだったと思うの。
一緒にいた百合ちゃんも、
笑ってたわ。
ふふ。
そりゃ、笑っちゃうわね。
凛、大失敗。
お買い物をして、
パルコを出るとき、
律儀に同じところで、
またガッツリ、ヒールがはまった。
二度目の収穫ね。
今日は大豊作。
百合ちゃんが言ったわ。
「凛さんが歩くところは、
レッドカーペットでも敷いた方がいいですね。」
ふふ。
優しい子。
私、思ったわ。
私ってなんてラッキーなんだろうって。
だって、
心配してこんなこと言ってくれる子ってなかなかいないし、
何より、
この状態が一人じゃなかったって事がね。
考えてもみて。
もし一人だったら、
多分、
お店が閉店になるまで、
ヒールの刺さったまま、
そこに立っていたと思うわ。
そりゃそうよ。
あんな、大根引き抜くみたいなこと、
一人じゃとても無理だもの。
ちょっぴり、
往来の邪魔になったとしても、
何もなかった風を装って、
閉店まで立っているわ。
一人じゃなくて、
本当に良かった。
今日、稽古だったしね。
もし、そんなことになったいたら、
なんて言って稽古を休めばいいのかしら。
「ヒールがはまって、稽古にいけません。」
そんな言い訳って、
通用するのかしら。
ホントのことだとしても、
ちょっと、なめ過ぎよね。
あぁ、
やっぱり私は、
ラッキーな女なのだ。

ちなみにこれは、
パルコの前で抜いた大根ではない。
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