レッスンが終わると、
レッスン生や研究生達は「コンチェルト」の稽古に行ってしまったので、
私はトランペットを吹く。
特に練習するつもりじゃなかったので、
楽譜も何も持ってこなかったし、
とりあえず音だけ出して遊んでいる。
毎日楽器に触ることが大事だからね。
竹本さんがやってきて、
楽器の手入れの仕方を教えてくれた。
それから隣で、
聞いたことのあるアメリカンポップッスを吹いたので、
教えてくれとねだる。
「何を?。」
「指、指。今の曲の指、指。」
「わからん。」
「(-_-)?。」
「僕は感覚で生きてるからね。」
ブクブクブクブク。
おっと、泡ふいちまった。
佐野君がやってきてサックスを吹き始める。
細く、ひょろ長いシルエットでサックスを吹き始める。
「最近、太ったんだ。
4キロ。」
「え、そう?。
あと10キロ太っても良いね。」
「お腹から太るんだね。
最近、ムーミンみたいなんだ。」
こいつは、ムーミンがどんな生き物なのか、
知っているのだろうか。
もしかしたら、ムーミン谷に住んでいる、
『ニョロニョロ』とか言う、エノキダケみたいな生き物と、
ムーミンを間違えているのかしら。
ここでトランペットを吹いていると、
いろんな人がやって来る。
今日のたいして実にならない練習でも、
私の唇は、やっぱりバカ殿のように赤く腫れている。
ちょんまげは、まだ生えてこない。
続く。
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